ブーツは、山と人を結びつける“絆”だから、愛着のもてる高品質なものがいい

ザンバラン・ヴィオーズ・プラス GT

文・戸高雅史(登山家・ガイド)

本ページの内容はインプレッション記事のため、使用者個人の感想を含んでおります。

使い捨てではなく
手入れをして長く使える登山靴

三つ峠にて。足元には、手入れによりほどよく馴染んだヴィオーズ・プラス GTがある。履けば履くほどに愛着を持てるようになるのは、レザーブーツならでは

 最近はガイドや大学のコース(授業)で無雪期の北海道の大雪山域や北アルプス、屋久島などの縦走に入ることが多くなりました。装備は随分軽くなったとはいえ、バリエーションではロープや登攀具、長期縦走では食料や燃料も含めて荷物はそれなりの重さになります。これまで使用してきたレザー製のブーツが古くなり、ソールもすでに一度張り替えていたので昨年、本格的なシーズンが始まる前に新しくすることにしました。

 求めるのは、使い捨てではなく手入れをしながら道具に気持ちも込めて長く使えるようレザー製のもの。

 山行に際して保革油を塗ったりしながら手入れをする時間は山の時間の大切な一部。準備の時にはバタバタするものですが、手入れをするときにゆったりと落ち着いた気持ちになり、山やコースのイメージをしたり、忘れ物がないかを振り返ったりする儀式のような時間です。

 また、長期の縦走に耐えるよう、堅牢性と防水性。さらに穂高の縦走などでは岩場でのソールのフリクション。重い荷物を持って歩くことが多いのでソールのクッション性も重要。そしてガイド山行ではコンティニュアスで行動することが多く、急なガレ場や土斜面のグリップ力も不可欠です。また、滝谷などのアルパインクライミングでのアプローチに使用するときには、登攀時にはザックにしまうので軽量であることも大切な要素。



つり込み製法による美しい仕上がり。高品質のレザーは剛性と柔軟性のバランスがよいのが特徴。使い込むほどに足になじむ、ソールを張り替えることで長く使うことができる一足だ
足首まわりはソフトに仕上げられている。あたりが少なく、履き始めから快適に履ける。通気性のある素材なので、蒸れも少ない

美しいデザイン
安定感ある履き心地
細部まで生きづくイタリア品質

 初めてヴィオーズ・プラスGTを手にしたとき、まずはその軽さにびっくり。そして完成度の高い質感に惹かれました。「美しい!」と感じました。

 上質なレザーの採用や、足をやさしく包みこむ柔らかな曲線をもった仕上がり。イタリアの職人たちが一足ずつ仕上げているからこそ醸し出せる雰囲気が、この靴にはあります。

 見た目は柔らかな感じがしますが、履いてみると驚くほどに堅牢で足全体をホールドしてくれる安心感・安定感もあります。新しい靴を手にして、これからの山行がワクワクする気持ちになりました。

 


ヨーロッパアルプスにて。ソールのビブラム・スタートレックソールが、本場のアルプスでも活躍。重たい荷物を背負っての登山や、北アルプスなどの雪渓、岩稜でも使いやすい、本格仕様モデルだ

北アルプスの岩稜や、富士登山など
あらゆる山で安心して使える高性能ブーツ

 ヴィオーズ・プラス GTとともにこれまで歩いた山は、北海道では大雪山や十勝連峰、日高山脈の縦走。アルプスでは北アルプスの槍~穂高縦走。他、富士山やヨーロッパのトレッキング、屋久島の縦走などで使用してきました。

 最初から足にすぐに馴染み、靴擦れもなく、防水性も完璧。岩場や北アルプス・大キレットの下降でのグリップ力も問題ありません。安心感と信頼感。なにより足裏の感覚がそのままに伝わってくるような自然な感覚は、私が大切にしている山との融合の世界をやさしくサポートしてくれます。

 山を愛し、登山靴作りにかける創業者ジュゼッペ・ザンバランの思いとザンバラン社のポリシー。それは本当に気にいった道具と長く山行をともにしてゆくよろこびを与えてくれます。

戸高雅史(とだか・まさふみ)
18歳から登山を始め、23歳からヒマラヤ登山へ。90年、ナンガパルパート南西稜無酸素登頂。96年、K2無酸素単独登頂。現在は、ヒマラヤでの体験を生かし、「いのちがはずむ いま」をテーマにして自然体験活動の指導、ガイドなどの活動を行なっている。野外学校FOSを主催。