春夏はもちろん、積雪期にこそさらに真価が発揮されるはず

プリムス・イータスパイダー

文:杉村 航(プロカメラマン)

本ページの内容はインプレッション記事のため、使用者個人の感想を含んでおります。
ボックス型の風防を採用したイータスパイダーは分離型タイプで安定性にも優れている。

仲間のガイド達には、既にマストアイテムになっていた

きっかけは一昨年の冬、雪稜クライミング中に友人のガイドがイータパワー・EF(イータスパイダーよりひと回り大きいグループ向けのモデル)を使っていたことに始まる。岸壁の下のわずかなスペースにテントを張り終わり、次はひたすら雪を溶かしての水作りという時、彼には、風防と専用ポットの組み合わせのメリットを滔々と語られた。その場では皆適当に相づちをうっていたのだが…
次の冬、スキー山行へ行ったときに別のガイドがザックから取り出したのはまたもやイータパワー・EFだった。こうやって僕の周りではイータパワーが急速に普及していっている。この2回の経験を通して、イータパワー・EFが魅力的なアイテムなのは間違いないと感じたものの、一方でソロ山行が多い僕にとってはちょっとオーバースペック。第一、自分で所有しなくても共同装備で誰かが持っているでしょ(笑)と。


お湯が沸くまで食事のしたくをして待つということもなく、とにかく早くお湯が沸く。
110サイズのガスカートリッジならばバーナーと一緒に収納可能。多少コツはいるけど。

早くお湯は沸かせるし、燃料も節約できてるし、冬の水作りも期待できそうだな

そう思っていた矢先、このイータスパイダーが登場してしまった。惚れ込んだ機能はそのままに、一人でも使用できるほどコンパクトにまとまっている。さっそく手に入れたイータスパイダーと共に、友人を誘いクライミングを楽しんできた。夕陽がさし始め、テント前でギアを整理しながらイータスパイダーに火をつける。今までなら点火して湯が沸くまでのあいだに食事の準備を進めるのだが、その間もなく水は沸騰していた。

このイータスパイダーは、ボックス型の風防のおかげでバーナーの炎が風にあおられることもない。また、炎の熱は鍋底についたヒートエクスチェンジャーで逃がさない構造になっているので、普通のバーナーとクッカーを使用して湯を沸かすよりもはるかに時間短縮がされる。多くの人が1泊のテント泊で250サイズのガスカートリッジを持って行くと思うけど、今回は迷うことなく110サイズのカートリッジを選んだ。
この時は、晩と翌朝にイータスパイダーを使ったが、まだまだ十分な量のガスが残っていたことは言うまでもない。
使い勝手も分離型で安定感があって申し分ない。バーナー部は風防内側にあるマグネットで固定されるのも安心なところだ。ソロに限らず2〜3人までならこれでいけそうだ。
合理的なセットは、コンパクトに収納できるのも魅力。外したゴトクなどをクッカーの中に収め、専用のケースに一式すっぽり。赤いボールの中にガスを入れなければ、(110サイズのガスカートリッジなら入れることが可能)空間に余裕があるので隙間にティッシュやコーヒー、小分けにした調味料など詰めると具合がいい。様子を見ていた友人もしきりに感心している。
僕は「コイツも買うな」とひそかにほくそ笑む。

きたる冬、これで雪を溶かす作業をするのが待ち遠しい。この夏も十分活躍してくれたが、積雪期こそさらに真価を発揮してくれるはずだから。


杉村 航(すぎむら・わたる)

長野県在住。プロカメラマン。雑誌、広告用に料理、ファッションから温泉取材と幅広く撮影を行いながらスキー、スノーボードの各誌、メーカー、スキー場広告写真に作品を発表中。臨場感とストーリーを感じさせる立体感のある写真を撮るべく、国内外を問わず撮影に赴く。ここ数年は高校時代より没頭してきた登山が昇華、隙をみては山岳写真を撮り歩く日々を送っている。