ドイターのぶれない信念を
北アルプスの秘境で感じた4日間

ドイター/エアコンタクトプロ60+15

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文:森山伸也(アウトドアライター)

本ページの内容はインプレッション記事のため、使用者個人の感想を含んでおります。

山旅の相棒にキャンプ道具をつめて歩く

秋の気配が感じられる9月中旬、「ドイター/エアコンタクトプロ60+15」に4日分の食料、キャンプ道具を詰め込んで北アルプスの秘境を歩いてきた。

ルートは富山県の折立から入山し、黒部五郎、三俣蓮華、黒部源流、雲ノ平、薬師沢を通り、折立へと戻る黒部周遊トレイルである。(詳細レポートは、2018年春の山岳雑誌『PEAKS』(エイ出版社)に掲載予定。)
バックパックの重さは、だいたい22-23㎏ほど。そのうちの4kgほどが嗜好品のビールとウイスキー、ツマミなどである。ドイターだから好きなものを、好きなだけ背負っていける。

5年くらい前から軽量化思考のバックパックが市場に溢れはじめている。軽いことはいいことだ。でもその分楽しみは減る。安全面にも不安を抱える。耐久性も心配だ。
パックが軽くなれば、そこに入れる装備の重さも軽くしなければいけないからだ。
ドイターの「重いモノでも、安全に、体に疲労を少なく、軽く感じて快適に持ち運べるバックパック」というモノづくりは、いつもぶれていない。流行に左右されない質実剛健なモノづくりにプライドを持つドイツの開発者の気概が伝わってくる。

ドイターの大型バックパックフラッグシップモデルともいえるのが、このエアコンタクトプロである。
4日間使ってみて、気に入った細かいディテールを紹介しよう。


荷重バランスが整う仕組み

バックパックの荷重を肩、背中、腰の3カ所へバランスよく配分できるよう、ハーネスの作りは堅牢でボリューミー。長年使うごとにパッドが体の形に馴染んできて、さらにフィット感がよくなる。アルミステイが縦に2本内蔵され、全体の剛性を整えることと荷重を腰へと伝達することで一体感を作り出している。 肩甲骨と腰の間に空間ができるので、適度に風が通り、日差しの厳しい時も快適だった。 さらに、各パッドには中空フォームの特殊素材を使っている。パッドの中を空気が循環し、高い背面通気性を維持しているのだ。これがモデル名の由来となった「エアコンタクトシステム」である。

アルミステイ1 アルミステイ2 エアコンタクトパッド
アルミステイ1:
荷重を支え腰に伝えるアルミステイを体の近くに配置している。これが「軽く感じる」バックパックの秘密だ。
アルミステイ2:
T6焼き入れ処理が施されたアルミフレーム
エアコンタクトパッド:
適度に硬さがあり、重い荷物を背負ったときにもつぶれきることなく体の動きに合わせてポンプのように空気を入れ替えするパッド
サイズS サイズXL サイズLに調整
背面長はワンタッチでスムーズに調整できる。
腰にあるレバーを引きながら(右手)、ショルダーハーネスをスライドさせて調整する(左手)。上の写真は、もっとも背面長を短くした場合のサイズS。
こちらが背面長をもっとも長くしたときのサイズXL。 山中でラクに背負えるポジションを探しながら歩ける。 身長178㎝、少々座高が高めの著者はサイズLが調子良かった。
一度自分のサイズがわかれば、背面長をちょくちょく変える必要はないけれど、たとえば他人に貸してあげたりするときにも重宝するだろう。

腰で荷重を支える仕組み

荷物の荷重比率をもっとも大きく引き受けるのが、このヒップフィン。腰骨を覆う大きめのパッドを採用し、大きなポケットを装着する。(ポケット下部はベルクロで止められている。ウエストのスタビライザーベルトを引くときは、ポケットを持ち上げて引く)

5層構造のヒップフィン 5層構造のヒップフィン
5層構造のヒップフィン:ドイターのヒップフィンはなんと5層構造になっている。しっかりと支えつつやさしく腰を包み込む工夫だ。
個人的に気に入ったのが、ショルダーハーネスを締めるこのバックル。リズミカルに歩いても緩みがまったくなく、安心感があった。

縦走に便利な機能が満載

エアコンタクトプロにはロングトレイルを歩くときに荷物が多くなっても使い勝手の良い機能がたくさん詰まっている。

内部は、ジッパー式のセパレーター フロント側からもアクセスできる
内部は、ジッパー式のセパレーターにより2気室に分けられる。ボトム付近からもアクセスができる。またボトムにはレインカバーが収納されている。 ジッパーをU字に開いて、フロント側からもアクセスできる。すぐに必要なものが取り出せて、テント内ではこのままの状態で整理整頓ができ、ありがたい機能である。
縦長の大型ポケットを アタックザック
フロントには、伸縮素材を用いた縦長の大型ポケットを装着。すぐに取り出せるとありがたいレインウェア上下や、ウインドシェル、グローブ、ヘッドランプなどを収納しておくのに便利なポケットだ。 コンパクトに折りたためるアタックザックが付属している。分岐点にバックパックをデポして、飲み物、行動食、貴重品などを入れて黒部五郎岳に登頂した。 なかなか本格的な作りで、ちょっとしたデイハイクに使えそうだ。

モノづくりの信念は変わらずとも、最新の素材やシステムを採用しながら進化を続けるドイターのバックパック。
2018年には創業120年を迎える長い歴史を有し、いまだ専門ブランドとしてトップを走り続けるドイターの安心感は、山へ分け入れば分け入るほど大きくなっていく。
「さあ、荷物のことはオレにまかせて、歩くことを楽しんでくれ」と言われているような、心強いゲルマン魂を感じるのだ。
はじめての大型バックパックとして、自信を持っておすすめできる山旅の相棒である。

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photo森山伸也(アウトドアライター)
北欧のロングトレイルを日本にはじめて紹介したひとり。著書に『北緯66.6° ラップランド歩き旅』(本の雑誌社)

撮影:松井進(山岳カメラマン)