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NEMOのR値(ASTM F3340)への関わりとアプローチ

R値とは何か、なぜR値が重要なのか、そして正しいマットの選び方について紹介します。
さらに、オールシーズン使えるスリーピングシステムを構築するためのアドバイスもありますので最後までご覧ください。

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NEMOは8年間に渡り消費者が各メーカーのマットを正確に比較して、その暖かさを直感的に理解できるような業界標準の策定(R値の標準化)に貢献しました。

冒険に最適なギアを選ぶには、それぞれのギアの背景にある「何が」「なぜ」「どのように」作用するのかをしっかりと理解する必要があります。
冒険には予期せぬトラブルはつきものです。その時に持ってきたいくつかのギアがあなたを暖かく(または涼しく)保ち、ドライな環境を作り、風雨から身を守る役割を果たしてくれます。
もしあなたがギアの細かいスペックにまでこだわる方ならあなたはいま正しいページに来たと言えます。また、そうでない人も安心してください。

なぜならNEMOは「心惹かれるデザイン」の名の下に製品の細部にまでこだわることに心血を注いでいるからです。私たちは全ての人の冒険をサポートするために誇りを持ってこの製品開発のプロセスを実践しています。
2020年にNEMOは製品の説明やパッケージデザインを刷新しました。そこには製品のユニークな特長だけでなく、標準化されたASTM規格のR値が記載されています。
ASTM: American Standard Test Method

NEMOチームは四季を通じて最適なマットやシュラフを選ぶ方法をより明確にし、消費者の皆さんに理解してもらうためにアウトドア業界全体でR値の測定方法を共通化する取り組みに協力しました。
その結果、生まれた新しい検査基準によってこれまでで最もシンプルで再現性が高く、合理的で正確なR値の測定方法が実現したのです。

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ASTM規格のR値の測定方法:地面を模した冷たいプレート(5℃)と人体を模した暖かいプレート(35℃)でマットを挟み、上から荷重をかけることでマットの上に人が寝ているような状態を再現します。この時に暖かいプレート(人体)が温度(体温)を一定に保つためにどれだけのエネルギーが必要かを測定します。その結果、暖かい体からマットを通って下の冷たい地面に流れる熱の測定値(抵抗)=R値が得られます。

R値とは何か?

R値は熱抵抗の略語で暖かい体から冷たい地面に熱が流れるのをマットがどれだけ抵抗するか(防ぐか)を示す測定値です。
つまりR値はマット自体の暖かさを示すものではなく、マットの断熱性を示す数値なのです。
これまでアウトドアブランドや販売店がR値を正確に測定するための業界全体で標準化された測定方法は存在しませんでした。そのため信頼性と一貫性を確保するための測定に関する研究開発が行われてきました。

ASTM規格のR値は従来の推奨温度範囲(気温)を記載するものではなく、どのブランドのR値でも公平に比較できることや、複数のマットを重ねて使用した場合に正確で加算されたR値を計算することができるなど、マットを選ぶときにとても役立つものになりました。
最後に、R値は断熱性を示す要素です。そのため環境要因や睡眠時の体温などによって値が変化することはありません。

各ブランドのマットの説明書やパッケージなどにASTM F3340と記載されたR値が記載されている場合、それが最良かつ最も正確な測定値であると言えます。
断熱性、重さ、収納サイズ、快適さ、アクティビティなどの条件に最も適したバランスの取れた選択肢をマットのラインナップの中から提供するために、R値の目標値は、新素材の追求や新しい構造技術の実験に活かされています。

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NEMOのテンサー アルパインは3層の断熱フィルムをマットの内部に吊り下げることで断熱性と静寂性を両立しながらR値 4.8を実現しています

正しいR値の選び方

私たちは正しいR値を選ぶプロセスをできるだけシンプルにしました。マットのR値を理解するのに数学者である必要はありません。どんなに寒い場所に行くとしても正しいマットを選べばあなたも一緒にキャンプに行く仲間も長くて寒い夜に震え上がることはないでしょう。

基本的な選び方は以下の通りです。
気温が低ければ、より高いR値のマットを選ぶ。
気温が高いほど、低いR値のマットを選ぶ。
この単純な公式がうまく機能するのは、全てがあなたと地面との関係に関連しているからです。
人間の体は常に熱を発しています。その熱をどこかに放出しなければ、最終的にはオーバーヒートしてしまいます。逆に体から熱を奪いすぎると低体温症になってしまいます。

温暖な気候ではR値の低いマットを選び、より多くの熱を周囲の環境に放出するのがベストです。寒さが厳しいときは体から出て地面に伝わる熱の量を抑えるためにR値の高いマットを選びましょう。
もちろん外で寝るときの暑さ・寒さの要因はこの2つだけではありません。気温や湿度、衣服の素材なども関係してきます。
しかし、R値は季節を問わずあらゆる冒険に対応するためにマットにどれだけの断熱性があるのかを測るための最高のツールなのです。

ここでは1年を通してスリーピングシステムを最大限に活用するためのヒントをいくつかご紹介します。

  • スリーピングギアもレイヤリング
    シュラフ、マット、そして寝るときに着るものなどスリープシステム全体をモジュール化して考えてみましょう。ベースレイヤー、ミッドレイヤー、ビーニー、ソックスなどを組み合わせることで、スリープシステムの快適に眠れる温度範囲を効果的に広げることができます。
  • レイヤーを上から下に重ねる
    シュラフは体の上面を断熱するのに適しています。なぜなら、断熱材が膨らんで本来の機能を発揮できるからです。シュラフの下側の断熱材は寝ている人の体重や湿気で押し潰されると断熱効果が大きく低下します。
    トップレイヤーとボトムレイヤーのそれぞれの効果を考えてみましょう。マットは底面の断熱に最も適しています。体重をしっかりと支え、マット内部の断熱材の性能を効果的に保つことができます。
    寒い夜にとても暖かいシュラフを使っていても、マットが十分な断熱性を持っていないと寒くて寝られないことがあります。これは熱が上面から逃げない一方で、地面に逃げてしまっているからです。
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R値は加算式なので、2つのマットを重ねて使うとそのR値を増やすことができます。温度で表記していた従来の規格ではこれに対応することができません。

なぜASTM規格のR値が重要なのか?

NEMOは皆さんが異なるブランドのマットの断熱性を公平かつ正確に比較できるように、標準化されたR値の測定方法が確立されるまで独自のR値を公表しないことを重要視してきました。これまでNEMOはR値を公表していませんでしたが、それは消費者の購入意思決定に関わる重要な基準を示す当時のテスト方法に十分な厳密さがないと考えたからです。

NEMOは他の主要アウトドアブランドと共に2019年秋に承認された新しいASTM規格の試験方法の開発で主導的な役割を果たしました。この基準が導入され、NEMOの全てのマットがこの基準でテストされたことで2020年からR値を公表するようになりました。

これらのステップは、マットの購入時の意思決定プロセスを簡素化し、可能な限り適切で最も快適なギアを人々に提供することで、冒険を求める意志と想像力を持つ人々にアウトドアでの素晴らしい体験を提供するというNEMOのミッションに合致していると強く感じています。

NEMOマットの全製品をご覧いただきR値の違いを確認することで、それぞれのマットがどのような冒険のために設計されているかをより深く理解することができます。

マットの選択においてR値はとても重要な要素ですが、この試験ではマットの寝心地や寝返りをする際の静寂性、肌触り、セットアップ・収納のしやすさなどフィールドで実際に使用する時の快適性までは図れません。
購入時にはR値に加えて数値では表せない快適性についても考えてみると良いでしょう。
NEMOマットのラインナップはこちらからご覧いただけます。

 

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