既に十分な「モノ」がある世の中で、これ以上モノを増やすことは賢明ではありません。その代わりに私たちNEMOがこだわるのは、ユーザーが実際に直面している課題を解決することです。
NEMOの製品開発プロセスは山や星空の下など人里離れた場所から始まります。自らが体感した既存のギアの改善点に関してオフィスでスケッチを描き、そのスケッチが多くのプロセスを経た後にテント、マット、シュラフ、ファニチャーの新製品となります。
全ての人の冒険を、より良く忘れられないものにするために製品をデザインする、これが私たちの仕事です。
問題点を理解していないのにどうやって解決策を優れたデザインへと落とし込めることができるでしょうか？私たちの製品開発のプロセスは先ずはフィールドに出ること、泥まみれになり、高所に登り、遠くまで旅をし、できるだけ外で寝るということから始まります。NEMOチームに参加するための前提条件は、アウトドア好きであることです。フィールドは私たちの最高のアイデアが生まれる場所でもあります。そこで、既存の製品に足りないものを感じたら、オフィスに持ち帰って開発に生かすのです。
私たちの製品つくりの原点は、人々の冒険をより良くすることです。どうすればスマートなデザインで「もっと濡れずに、もっと暖かく、もっと快適に過ごせるか」を日々考えています。
単純に「テントを作る」ことを目的とするのではなく、そのテントの中で何をするのかを考えます。例えば、嵐が過ぎ去るのをパートナーとトランプをしてやり過ごすことを考えれば、ゆとりのある頭上空間と2人分のギアを収納するのに十分なスペースのテントをデザインします。
テントを背負って1日に50km近くも移動するならば、私たちはグラム単位の軽量化が重要であることを理解しています。そのような場合は、ジッパーの引き手の重さにまでこだわります。
最高のアイデアは、デザインと技術の組み合わせから生まれます。私たちのチームは、デザインというテーブルにさまざまな視点からアイデアを提供するデザイナーと技術者の組み合わせで構成されています。
私たちの製品は単純な思いつきによって短時間で実現したり、予測可能なスケジュールで計画的に実現したりすることはほとんどありません。むしろ行き詰りやトラブル、熟考を重ねた反復を含む献身的で終わりのない進化を繰り返した後に誕生します。特定のジャンルや固定観念に囚われないフレキシブルなデザイン思考と最新の技術の組み合わせが、私たちの製品デザインの中核を成しています。
多くのメジャーブランドとは違って、NEMOの製品開発はすべて社内で行われます。NEMOでは極小のネジやジッパーに至るまであらゆるパーツを検討し、実際に採用するまで全てのアイデアが社外に出ることはありません。この考えは、NEMOのビジネス全体にも浸透しています。開発過程における行き詰りやトラブルは、日々の地道な繰り返しの作業と最高のチームワークから最高の解決策が生まれると信じています。
本社はデザイナーの遊び場です。縫ったり、工作したり、スケッチしたり、テストしたりと、常にクリエイティブかつ自由なエネルギーが飛び交っています。社内には、レインチャンバー、テストラボ、ウッドワークショップ、フォトスタジオ、マテリアルワークショップなどがあり、オープンなオフィススペースの中核となっています。
「サステナビリティは貴重な資源を守り、冒険とギアが地球に与える影響を最小限に抑える」という基本的な信念に基づいて、デザインへのアプローチに組み込んでいます。
過去にはサプライチェーンからアルミをできる限り排除するため、業界に先駆けて竹製のテントポールを採用しました。また、2008年にはテント生産時の端材などを再利用するディットーラインを開発し、アップサイクルを行っています。
私たちは、ギアが美しい地球環境に与える影響を減らすために努力を続けています。私たちは、業界のリーダー的な役割を担い、サプライチェーン全体から有害な化学物質を排除すること目指しています。小規模ブランドとしては初めて「Higg Index」を導入し、自分たちと業界のために高い目標を設定しています。
私たちは優れたアウトドアギアを作るというゴールだけではなく、そのプロセスまでも重要視しています。私たちは最初に思いついたアイデアを超えることが大切だと考えています。素晴らしいと思えた最初のアイデアに固執することは、その後の過程でより素晴らしいものが生まれる可能性の芽を摘むことと考えるからです。
ギアをデザインすることはそれ自体が冒険です。私たちはプロセスを極めながらチームで試練やチャレンジを乗り越え、より良い人間に成長していきます。そのためには決意とやり抜く力が不可欠であり、最後には誇りが生まれるのだと信じています。
テストは私たちの製品開発プロセスの重要な部分を占めています。多くのメジャーブランドは、ギアが最低限のスペックを満たしているかどうかの確認を製造パートナーに依存していますが、私たちはこのプロセスをより真剣に捉えています。ラボでのテストとフィールドでのテストを組み合わせることで、製品を慎重に検証しています。
社内ラボには、レインチャンバー、生地の強度試験機、ヒートチャンバー、その他様々な厳しい（そして楽しい）テストツールが揃っています。また、世界中にいるフィールドテスターの協力を得て、地球の隅々まで製品を運び、最も過酷な状況下でテストを行っています。
私たちはアウトドア・アドベンチャーへの愛と、優れたデザインへの情熱が交差する美しい場所に住んでいます。
私たちは快適さとは何かを繰り返し考え、新たな疑問を投げかけ、従来の概念や期待を越え、頭脳と創造力を駆使して、人々の冒険をより良いものにするためのギアをデザインしています。
他の人と同じギアを違う色で作るのは簡単です。今までにない優れたデザインの製品を作るのはとても難しいことですが、それは無限の満足感を与えてくれます。
安易に常識を受け入れることをせず、直面した課題をどのように解決してきたか、いくつかの例をご紹介します。
マミー（ミイラ）のように眠りたい人がいるでしょうか？
シュラフを購入するときにほとんどの人が重量と収納サイズを重視し快適性を諦めていたということに、私たちは気がつきました。世の中の70%ほどの人やNEMOスタッフの多くは横向きで寝るサイドスリーパーなのに、市場にある大半のシュラフはマミー型で、ミイラのように仰向きの姿勢を強いられて眠る必要があったことに。
そこでNEMOはアイスクリームを買うとついてくる木製の小さなスプーンからインスピレーションを得た「スプーンシェイプ」と名付けた独自のデザインのシュラフを開発することにチャレンジしました。スプーンシェイプのシュラフには、肘と膝周りにゆとりがあり、自宅のベッドで寝ている時のように楽な姿勢をとったり寝返りをうったりすることができます。そして、快適性を持ちながらもバックパックに入れて自由に持ち運べるコンパクトな収納サイズを実現しています。
一見地味に見えるマットにも驚くべき技術が詰まっています。
テンサーシリーズのマットの内側には、体を支えると同時に体圧を逃がすように設計されたトラス構造を採用しています。私たちはマットの上下をつなぐ伸縮性の低い超軽量生地でトラスを作ることで、他の多くのエアマットで感じるバネのようなフワフワとした安定感の感じられない不快な寝心地を排除することに成功しました。
また、インシュレーテッドモデルには、このトラスの中央に超軽量の断熱フィルムを吊り下げるように配置し、寝返りをうってもカサカサとした耳障りな音を立てることなく暖かな夜を提供します。
長年、アウトドア用のポータブルシャワーと言えばタンクを高いところに置き、重力を使うものが一般的でした。十分な強度がある木の枝を探して歩き回って水を入れた重たいタンクを高く持ち上げ、吊り下げる必要があったのです。それだけ頑張っても得られるのはチョロチョロと流れるわずかな水量です。
そこで私たちはキャンプシャワーを根底から考え直し、地面に置いたままパワフルな水量を安定して供給できるシャワー「ヘリオ」を作り上げました。ヘリオは付属のフットポンプを踏みタンクに圧力をかけるため、加圧の際に特別な道具を必要としません。水さえあればどこでも好きな場所で使えます。
羽よりも軽くてアルミよりも強いものは何でしょう？
NEMOの創業者のカムは、市販のチープなビビィサックでMt. ワシントンでの悲惨な夜を過ごした後にエアビーム（空気梁）の開発を始めました。それから2年後、NEMOは金属製フレームの代わりにエアビームを使用するテントの販売を開始しました。
エアビームはアルミ製のポールよりも強く、短時間で膨らみ、コンパクトに収納することができるため、バックパックの隙間に詰め込むことができます。エアビームを使用したシェルターは、バイクツーリングやカヤックツーリングなど収納サイズが重要となる多くの冒険で使われています。
焚き火を囲むためのキャンプチェアの選択肢には、点で支えられているような超軽量のものや、車のトランクからキャンプサイトまで運ぶのに苦労するような重たいものなど多くの不満がありました。そして、それらのほとんどが座ったまま動かすことができません。
私たちは赤ちゃんの頃から動くこと、揺れることでリラックスできることを知っています。そこで私たちは、初めてのスイング＆リクライニングキャンプチェアをデザインしました。軽量で信じられないほど丈夫で、快適な座り心地をキャンプで実現したいという私たちの要望に対する完璧な答えです。体を包み込むようにして優しくスイングしたり、背もたれに寄りかかってリクライニングしたりすることができます。
これまでに多くの賞を受賞していますが、私たちが最も嬉しいのは私たちのギアがあなたの冒険の一翼を担い、あなたをより暖かく、よりドライに、より快適にしてくれた事実を知った時です。登山やサイクリング、そして外に出て自由に過ごすチャンスを大切にしてください。
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