Base Camp イワタニ・プリムスがお送りするアウトドアを深く楽しむための情報ページ
アウトドアにお出かけになる場合は、引き続き、当該地区の自治体や受け入れ場所等から要請される感染防止に関する内容に協力するとともに、新しい生活様式に基づいた行動を心がけましょう。
シンプルかつスマートに楽しむクライミング&キャンプ
〜木漏れ日の中で岩と戯れる1泊2日のショートトリップ〜
文 成瀬洋平(フリーライター、イラストレーター、日本山岳ガイド協会公認スポーツクライミングインストラクター)
フリークライミングのベストシーズンはどちらかといえば寒い時期ですが、キャンプと一緒に楽しむなら暖かくなってからが良いシーズン。日中はクライミングを楽しみ、夜はシンプルなキャンプでゆっくり過ごす。1泊2日のクライミング&キャンプは週末を利用してアウトドアをじっくり楽しむことができるおすすめのスタイルです。
快適な「クライミング&キャンプ」が実現できた笠置山クライミングエリア
初夏の緑が眩しい週末。クライミング&キャンプに訪れたのは岐阜県恵那市にある笠置山クライミングエリア。ここは2009年に公開された新しい岩場です。笠置山は標高1128mの低山で、クライミングを行えるエリアはその南斜面に広がっています。プロクライマー小山田大氏によって設定された高難度ボルダリング課題が多いことで知られており、ロープを使わないボルダリング課題は実に1400課題以上。世界最難クラスから初級者でも楽しめる課題まであり、レベルを問わず楽しむことができます。ロープを使うクライミングルートは100本ほどあり、垂壁の他、傾斜が90度以下のスラブ、岩の割れ目であるクラック、そして覆い被さるようなオーバーハングと多彩です。
エリアには無料で使えるキャンプサイトも整備されていますし、車でわずか3分のところには管理人のいるキャンプ場もあります。スタイルに合わせてクライミング&キャンプを快適に楽しむことができます。
ルートクライミングとボルダリング、どちらも楽しむ
初日はルートクライミングをしようとプレジャーロックと言う岩に向かいました。アプローチは駐車場からわずか5分足らず。この岩には5.9〜5.12c(※)まで10本のルートがあり、特に5.11台の好ルートが多いので中級者に最適な岩場です。妻は「クロックムッシュ」(5.11c)にチャレンジ。出だしからボルダームーブが続き、カンテ沿い登って最後はスラブへと続く変化に富んだルートです。何度かトライするうちに核心ムーブは解決しましたが、岩の表面が粗いため指皮の消耗が激しく、何度もトライするのは大変そうです。ぼくはプロジェクトルートにトライしましたが出だしがとても難しくて敗退。もっと乾燥した時期に出直した方が良さそうです。
(※ルートの難しさを表すグレードには5.9、5.10aなどの表記が使われます。小数点以下の数字が大きくなるほど難しくなり、5.10以上はさらにa〜dの4段回に分けられます。ボルダリングは10級が最も易しく、数字が小さくなるほど難しくなります。1級からは初段、二段となり、現在最も難しいグレードは六段)
思う存分クライミングを楽しみ、キャンプの準備は手早く
手の皮が痛くなり、全身クタクタになるまで登ると夕方も近くなっていました。無料のキャンプサイトは水場とトイレがあって十分快適ですが、汗とチョークをさっぱりさせたかったので今回はシャワーのある望郷の森キャンプ場を利用することにしました。
登り疲れた後のキャンプの準備は手早く済ませたいもの。道具が軽量&コンパクトなら荷物を運ぶのも楽に行えます。テントは、バックパッキングように開発されたモデルで、ニーモの「ダガーストーム3P」を使用しました。最小重量1.73kgと言う軽さに加え、大人3人がゆったり寝られる居住性を両立させているのが特徴です。無積雪期の縦走登山で大いに活躍してくれるモデルです。しかも出入り口が両側にあり、大きな前室が付いています。雨のときでも出入りがしやすく、前室は物置として重宝します。入り口のパネルの立ち上がりが垂直に近く、テント内の空間がとても広い。また、ポールが全て繋がっているので設営は一人でも簡単に行えます。海外のクライミングトリップなど長期のキャンプ生活でもストレスが少なく、荷物の重量を抑えられるのはとても魅力的。「ダガーストーム」の軽さと居住性の高さは幅広いアクティビティで快適に使えるでしょう。
クライミング&キャンプには登山の道具を
テントの設営を終えてからタープを張ることにしました。多くのキャンパーと同様にタープはクライマーにもとても便利なアイテムです。食事などの居住空間としてはもちろん、ボルダリングマットやクライミングギアなどの雨対策としての置き場にも重宝します。
一方、テント、スリーピングマット、クッカーやこんろなどは、登山に最適な物を使用しました。アクティビティ中心のキャンプでは、大掛かりなキャンプ道具を用意しラグジュアリーなサイトを作るよりも、シンプルかつスマートな道具を選択することをおすすめします。
料理も手早く、夜はゆったりと
天気が良かったので、テントサイトに備え付けられたテーブルで食事の準備を始めました。ぼくらの定番はパスタとサラダ。パスタは「フィットチーネ」がお気に入りです。数年前にフランスにクライミングトリップに出かけたときによく食べていた、平たいパスタです。小さな円状になっているのでキャンプ用の小さなクッカーでも茹でやすくて便利です。1泊2日程度なら、野菜は家で切ってジッパー付き保存袋に入れておくと調理が簡単です。プリムスの「ライテックポットセット」は容量が大きな2.3l。焦げ付きにくいノンスティック加工済みだから調理もしやすく後片付けも楽ちん。二つセットなので、こんろが2台あれば麺を茹でるのとソースを作るのを同時進行できるのでとても便利です。こんろは大きな鍋を乗せても安定性が高い分離型がおすすめです。
サラダを食べつつ日中のクライミングを振り返っているとパスタが完成。すっかり暗くなってきたのでランタンを灯してゆっくり食事を楽しみました。ランタンの明かりの下でトポを見ながら明日のルートを話し合うのも楽しい時間。クライミング&キャンプでは手早く美味しい料理を作り、ゆったりリラックスして夜を過ごすのが良いでしょう。
朝食と撤収もシンプル&スマートに
翌朝はたくさんの鳥の鳴き声で目を覚ましました。雲間から朝日が差し込み、鮮やかに新緑を照らします。朝食の定番はフライパンで作るチーズトースト。愛用しているプリムスのフライパンにとろけるスライスチーズを乗せ、その上に姉夫婦が営むパン屋のカンパーニュを乗せて焼きます。チーズがカリカリになったところで裏返し、反対側にも焼き色がついたら出来上がり。プリムスのフライパンは焦げ付きにくいので安心です。今回はトマトを載せた初夏バージョンにしました。
シンプルなキャンプ道具は撤収も早いもの。素早く片付けて車に押し込みました。ゆっくり休んだおかげで体もすっかり回復。さあ、今日も岩場でLet's climbing!!
シンプルなキャンプ道具を使うということ
日帰りではなくキャンプを組み合わせることで週末アドベンチャーはさらに濃厚な時間になります。そして設営の容易なシンプルなキャンプ道具を使うことでアクティビティにしっかり時間をかけることができ、思う存分楽しむことができるのです。それは自然(フィールド)をより深く体験することに他なりません。また、道具に煩わされないキャンプだからこそ、家族や恋人、仲間との時間をじっくり楽しめ、お互いの絆を一層深めることができるでしょう。きっと、みなさんにとってかけがえなのない思い出になるはずです。
クライミングを楽しみながらキャンプをするのに適した場所は、長野県の廻り目平キャンプ場などいくつかありますのでアプローチしやすい場所を探してみてくださいね。
ニーモ ダガーストーム 3P
プリムス エクスプレススパイダーストーブⅡ(P-136S)
プリムス マイクロン・ランタン(P-541)
プリムス ライテックセラミックフライパン
CT クリックアッププラス
成瀬洋平(なるせ ようへい)
岐阜県在住のライター・イラストレーター。自作したアトリエ小屋で制作をしながら各地で展覧会を開催。日本山岳ガイド協会認定スポーツクライミングインストラクターとして、笠置山クライミングエリアのほか各地の岩場で講習会を行う。
https://www.naruseyohei.com