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【山岳カメラマン執筆】お気に入りのカメラを携え、撮影山行に行ってみよう!登山撮影におすすめアイテムとは
写真・文 杉村航(山岳カメラマン)
SNSの台頭と共にWEBメディアがすごい勢いで進化していますね。登山の写真も映える(“ばえる”)シーンであふれています。いまや各自がアカウントさえ持てば、みんなが露出媒体(発表できる舞台)を持ったカメラマンであり、ライターであり、編集長である時代です。スマホのカメラ機能もハイレベルなものになってきていますが、レンズ交換のできる本格的なカメラを持って山に登った時は、楽しみがさらに広がりますよ。
撮りたい山=登りたい山⁉ 自分の表現したいものを撮りに山へ登ろう
山で撮りたいシーンは何ですか?
雲上の稜線で雄大な山岳景観を狙いたいのでしょうか。
しっとりとした森の中で神秘的な瞬間を切り取ることでしょうか。
陰影をコントラストで見せるか、鮮やかな彩りで印象的な画作り(えづくり)をするのか。
撮影を目的とする山行の場合は、目的の山は必ずしもあなたの登りたい山とは限りません。撮りたいイメージを叶えてくれそうな山やルートを探し、選ぶところから始まります。昔に比べれば、カメラはずいぶんと軽量コンパクトになりましたが、交換レンズ、予備のバッテリー、決めた構図をしっかりと安定させるために必須の三脚など、こだわりだすとどんどん重量がかさんでしまいます。登山に慣れていて体力に自信のある人なら、縦走しながらもいいのですが、まずはお試しプラン、ベースキャンプを設営し撮影の時間をしっかりと作れるルートがオススメです。
撮影においてとても大きな要素に光があります。撮りたい対象にどのように光が当たり、変化していくのか。撮影のハイライトは、夕方から朝にかけてです。山小屋よりも時間を自由に使えるテント泊の方が適していると思います。じっくりと撮影に没頭することができるからです。絶景が望めるようなテント場なら最高です!
パッキングのしやすい機能を見逃さずにバックパックを選びましょう
カメラ機材が増える分、当然荷物は増えるのですが、うまくパッキングし、安定して背負うことでストレスを減らしましょう。装備については、通常のテント泊と同様になりますが、撮影山行の場合は、カメラ、交換レンズ、予備のバッテリー、三脚などがプラスされます。通常のテント泊を想定したバックパックの容量よりは大きめを選ぶか、用途に応じて容量アップできるタイプを選ぶと良いと思います。
メインの荷室を2つに分けて使えたり、フロント側からもアクセスできたりするタイプは、パッキングの際にとても便利な機能です。こうした機能を利用するとうまくパッキングすることができます。パック選びの際の大切なポイントかと思います。
カメラはいつでも取り出せる位置にパッキングする
カメラは、バックパック本体の一番上にパッキングすることになるのではないでしょうか。腰を落ち着けて撮影するのは、テントを張ってからになりますが、道中で気になる景色と出会うこともありますし、登山シーンを撮りたいこともありますので、雨蓋を開ければすぐにカメラにアクセスできるようにしておきましょう。こうすることで、出し入れの煩わしさが減り、時間の節約になります。カメラ本体や交換レンズは、クッション性のあるインナーバックに入れておくことで、登山中の衝撃も軽減してくれます。
ソロでもテントは2人用
持っていくテントですが、私はソロでも2人用を使用しています。生活スペースがしっかり確保できること、機材の整理や、雨で濡れたときの手入れ作業の効率が高まることで、撮影にしっかりと集中できるからです。撮影につきものの悪天候時の停滞は、少しでも快適に過ごしたいと文庫本も持っていきます。
ベースキャンプの場所は、撮影の流れもイメージして決めましょう
テントの設営場所は先着順です。とにかく早めにテント場へ到着することが、 撮影を成功させるための秘訣です。なるべくテントの近くで撮影できるようなロケーションが理想的です。ただ、日の出と日の入りの向きは、当然逆方向になりますので、テントの正面をどちらに向けるかは、いつも悩みのたねですね。もちろんテントが風で飛ばされないように風向きも考慮しなければなりません。
天候が良いと、夕方から日没、星空、夜明けと撮影に適した時間帯が連続するので、案外のんびりしている暇はないかもしれません。が、急がば回れ、テントは撮影の流れもイメージし、丁寧に張り、撮影のホットタイムに備えましょう。
あとは食事の準備をしつつも、光の状態が良くなったらすかさず撮影開始です。
撮影優先で動けることもテント泊のいいところです。
天気が悪い時でも映える被写体はいっぱいあります
テントや調理シーンもいい被写体になります。
これらは、多少天気が悪くとも画になる”映える”被写体になってくれます。愛用のクッカーたちも素敵に撮ってあげましょう。広角レンズで周りの景色を画面に入れたり、望遠で背景をボカしたり、湯気などでシズル感を演出してあげましょう。
静かな時間を共に過ごすお勧めのアイテム
夜中、星空を撮りたくてもなかなか晴れてくれないこともよくあります。
長い待ちの時間ができてしまうとき、燃焼音のほとんどしないアルコールストーブなら周りに迷惑かけることなく静かにお湯を沸かし、コーヒーを飲むことも可能です。炎のゆらめきは、とても魅力的な被写体になってくれますよ。眠れない夜が明けたら、そのまま夜明けの撮影シーンに突入です!
余裕をもつことがワクワク感を導き出してくれます
撮影目的の山行は、どうしても通常の登山よりも時間がかかります。行動予定は、くれぐれも余裕をもっておきましょう。山の天気は、目まぐるしく変わります。晴れを狙っていても思うように晴れないこともたくさんあります。状況に応じた撮影プランを予め考えておき、臨機応変に楽しみましょう。テントの傍らで、カメラ片手にいい瞬間を待つのは、ワクワク感で満たされたとても幸せな時間です。山を駆け抜けるだけではなく、カメラを構え、山の中に流れる時と一体になることを楽しんでみませんか。
ドイター エアコンタクト55+10
雨蓋部分の高さを上げることでプラス10ℓ分の容量アップが図れる点、フロントアクセス機能、荷室を2つに分ける機能があり、パッキングしやすさがある。さらに、背面長の調整、ショルダーストラップのフィット機能と背負った時のバランスが良い大型パックです。
トランギア ストーククッカーSウルトラライト
アルコールバーナーを効率よく使用するためのクッキングシステム。風の強い稜線でも風防がついていて安心できる。別売オプションで小型のケトルも追加でき、コンパクトにまとまる点も優れている。
ニーモ リフ30
スプーンシェイプというニーモ独自のアイデアのつまった3シーズン用ダウンシュラフ。多くの人が横向きになって眠ることを考慮した形状からしっかりと体を休めることができる。
ニーモ タニ2P
細かなところまで作りこまれたデザインは、様々なコンディション下でも効果的な換気/温度調節ができ、快適な居住空間を実現している。軽さ、コンパクトな収納サイズを実現したニーモの山岳用テントの代表モデル。
杉村航(すぎむら わたる)
長野県在住の山岳カメラマン。登山雑誌やアウトドア、スキー各誌にて写真を発表中。山が見せる一瞬の表情を捉えるのが信条。
沢登りや泥くさいクライミングルート。山岳滑走など、道なき道を行くのが好き。源流でのトラウトフィッシングが得意。
信州登山案内人。小谷村山案内人組合所属。