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クライミングロープでキャンプを演出 〜ロープ活用術〜

文 フリーライター、イラストレーター、日本山岳ガイド協会公認スポーツクライミングインストラクター 成瀬 洋平

我が家では、古くなり使わなくなったクライミングロープを物干しに活用しています。木などがあればどこにでも設置でき、いらない時は外しておくこともできます。木や柱があれば好みの長さに張れるのでテントなど大きなものを干す時に便利。10mm前後の太さがあるので重たい物を干しても安定感があります。もちろん、クライミングロープでなくても登山用品店で切り売りしている太めの細引きを使ってもOK。ここでは、日常でもキャンプでも活躍する、ロープの活用術をご紹介します。

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我が家の物干し。テントやシュラフを干すのに重宝する

木と木の間にピンとロープを張る

キャンプサイトの立木を使ってロープを張るには、片方をボウリンノット(もやい結び)、片方をガルダーヒッチにすると簡単にロープにテンションをかけて張ることができます。スリングとカラビナを使ったガルダーヒッチは、片方からはロープを引くことができますが、もう一方からはロックされてロープが引けないという仕組みです。このガルダーヒッチは、もともと荷物の引き上げや、クライミングでは緊急時などにセカンドクライマーを引き上げるときに使われていた技術です。

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片方はボウラインノットで直接木に結ぶ(実際には樹皮を傷めないように布や新聞紙などで保護するとよいでしょう)

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もう一方はガルダーヒッチで。スリング1本とカラビナを2個使う(カラビナはクライミング用に作られたものを使いましょう)

ガルダ―ヒッチ。一方のロープは引けないが、もう一方は引けるようになっている。

ロープでキャンプ空間を快適に

木の間に張ったロープの使い方はさまざまです。手拭いやタオルを干すのはもちろん、出発がゆっくりならシュラフを干すのにも便利です。木と木の間にピンと張る前にロープの途中にバタフライノット(中間者結び)でループを作っておけば、クッカーやLEDランタンなどを引っ掛けられます。このバタフライノットは、アルパインクライミングで同行者をつなぐときに使われる技術で、ロープにテンションが掛かってもしっかりとループが縮まりませんので便利です。このほか、ロープに防水シートを掛けて細引きとペグで固定すれば即席タープを作ることも可能です。アイデア次第で使い方は無限に広がり、キャンプをより快適で楽しくしてくれるでしょう。

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バタフライノットでループを作っておけばいろいろな物を吊るせる

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防水シートを使った即席タープ。張り方は工夫次第

フリクションヒッチを使ってさらに一歩上のキャンプを

プルージックヒッチに代表されるフリクションヒッチ(ロープの摩擦を利用したもの)を使えば、タープのポールなどを利用して簡単に物を吊るすことができます。フリクションヒッチはクライミングの世界ではロープでの登り返しや懸垂下降のバックアップとして使われる結び方で、結び目を持ってスライドさせれば結び目の位置を動かすことができますが、結び目にテンションがかかると摩擦で止まるというものです。キャンプで使うなら専用のプルージックコードではなく、細引きをダブルフィッシャーマンズベントでループ状にしたロープスリングで十分です。

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写真は専用のプルージックコードをタープのポールに使った例。結び方はフリクションヒッチの一つ「クレムハイスト」。摩擦で止まっている。グルグルと巻いてある部分を持って動かすと上下に自在に動かせる

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細引きをダブルフィッシャーマンズベントでループ状にしたロープスリングを使えば経済的(5~6㎜位の細引きがいいでしょう)

ロープやカラビナ、スリングなどがあるとキャンプがさらに楽しく、快適になるでしょう。クライミングだけでなく、キャンプでもぜひ、ご自身なりに工夫して楽しんでみてください。

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成瀬洋平(なるせ ようへい)

成瀬洋平(なるせ ようへい)

岐阜県在住のライター・イラストレーター。自作したアトリエ小屋で制作をしながら各地で展覧会を開催。日本山岳ガイド協会認定スポーツクライミングインストラクターとして、笠置山クライミングエリアのほか各地の岩場で講習会を行う。
https://www.naruseyohei.com

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