IWATANI-PRIMUS イワタニ・プリムス株式会社

LOWAローバー BALDOバルド & BADIAバディア ルポ@大菩薩嶺

2020.09

文&写真:新井 知哉

本ページの内容は使用者個人の感想を含んでいます。

山梨県・大菩薩嶺でLOWAローバーのトレッキングブーツを試した

今回紹介するBALDO(バルド)とBADIA(バディア)

高峰の連なるヨーロッパアルプスの麓、ドイツで100年近くに渡り登山靴の専門メーカーとして歴史に名を刻んで来たLOWA(ローバー)。その知見に基づく歩きやすさと快適さ、そしてほどよい剛性をバランスよく備えたモデルが、今回紹介するBALDO(バルド)とBADIA(バディア)だ。それぞれメンズモデル、ウィメンズモデルとなる。この一見シンプルなトレッキングシューズの潜在能力を計るべく、登山はかなりご無沙汰だという島村さんご夫婦に、百名山の一つである大菩薩嶺にて一泊二日で試していただいた。

BALDO(バルド)とBADIA(バディア)

夫の亮平さんは高校生の頃からすでに、ジーンズに運動靴といった出で立ちで地元の山に何度か登っていたという。

「今までは、登山でもトレランシューズを使うことが多かったですね。ハイカットは少し歩きにくいイメージがあって」

そして同じく大の登山好きで、近年はボルダリングに夢中になっているという妻の菜津子さんも言葉を続けた。

「ハイカットの靴でハイキングをしていて、すねに当たる部分が痛くなることがあったんです。それ以来私もローカットの靴を良く使うようになっていました」

お二人の仕事の休みがなかなか合わず、最近では一緒に山に行く機会も稀なようだが、以前は一緒に富士山に登ったり、トレイルランニングのレースに出場したりと様々な経験があるそうだ。久しぶりの登山なので、と心配を口にしつつも、どうやら気力体力は充分ありとお見受けした。

BALDO(バルド)とBADIA(バディア)

今回試してもらうBALDO & BADIA(バルド&バディア)を受け取ったお二人が、足を入れてシューレースを引くと、まずはその滑らかさに驚いた様子だ。

靴紐の動きが凄くスムーズ。締め具合も調整しやすいですね」

これはローラーアイレットと呼ばれる、ボールを内蔵したシューレースフックがもたらす効果だ。中間部を引っ張るだけで簡単に、足の甲部分を必要なだけ締め込むことができる。他にも特徴的なXレーシングというLOWA(ローバー)独自のシステムが搭載されているが、これについては後述しよう。

BALDOバルド & BADIAバディアの履き心地

ちょうど九州地方で猛威を振るっていた台風の影響で、連日のように強風と雷雨の予報が続いている心配もあったので、初日は行動時間を短めに設定した。できれば上日川峠から大菩薩嶺の稜線を通って一周したいが、慎重に判断することにする。

BALDO & BADIA(バルド&バディア)の履き心地

登山口は標高1600メートル近くあるので、すでに秋を思わせる涼しい気温。雨具を着るほどでもない霧雨の中をゆっくりと歩き始める。少し傾斜が出てきたところでお二人から弾んだ声が聞こえる。

「ハイカットのトレッキングシューズと思えないほど足首が動きやすいですね。履き心地も自然な感じです。」

「履き口が柔らかい印象です。すねの部分も全然痛くなる気がしません!」

LOWA(ローバー)の登山靴が与えてくれる快適さは、歩き始めてすぐさま、お二人にも伝わった様だった。まばらな登山客と時折すれ違いながら、熊笹に挟まれた道を大菩薩峠に向けて緩やかに登って行く。

岩稜帯歩きにもぴったりのBALDOバルド & BADIAバディア

岩稜帯歩きにもぴったりのBALDO & BADIA(バルド&バディア)

大菩薩峠に着くのを見計らったかのように、今までのどんよりした雲が嘘のように切れはじめた。ここで天気の状況が悪ければ引き返すことも考えていたが、どうやら稜線歩きを楽しむことができそうだ。

岩稜帯歩きにもぴったりのBALDO & BADIA(バルド&バディア)

青空が覗くとお二人の表情もぱっと明るくなる。カメラを片手に菜津子さんが放つ言葉にこちらも嬉しくなる。

「来てよかった!!」

汗とともに日頃の鬱憤すら吹き飛ばしてくれそうな気持ちの良い風。今日の雲では富士山や南アルプスといった展望まではさすがに期待できそうにないが、差しこむ光に尾根筋や甲府の街並みも輝いている。事前の予報から比べれば、なんという幸運だろうか。

岩稜帯歩きにもぴったりのBALDO & BADIA(バルド&バディア)

岩稜帯に入り、石ころだらけの道を慎重に通過しながら、亮平さんが言う。

「動きやすいのに足首に安心感があります。靴底のグリップも良くて、岩の上でも歩きやすいですね」

岩稜帯歩きにもぴったりのBALDO & BADIA(バルド&バディア)

BALDO & BADIA(バルド&バディア)はお二人の足元をしっかりと支える。靴底の固すぎず、柔らかすぎずといったバランスも、足裏に地形を伝える一助になっているようだ。

タングを安定させるLOWAローバーのXレーシングシステム

稜線歩きを充分に楽しんで唐松尾根への分岐に差し掛かる頃、再び雲が厚みを増して来た。風も冷やりとして強くなってくる。無理に頂上を目指さず、すみやかに下山する方が良さそうだ。この日始めての下りになるので、改めて靴紐の具合を確認する。

タングを安定させるLOWA(ローバー)のXレーシングシステム

「そういえば以前、下山中につま先が痛くなってしまったことがあるんです」

と菜津子さん。これは靴紐の締め方の不足が関係しているかもしれないが、先に述べかけたLOWA(ローバー)のXレーシングの効果を体験してもらおう。

LOWA(ローバー)のXレーシングシステムとは、靴紐によってタング(ベロ部)を安定させる機能だ。タングについた突起に靴紐を交差させることで、タングが左右にずれることを防ぐ。これにより荷重を常にタング全体でしっかり受け止めてくれるので、特に下山時のつま先や膝へかかる負担を大幅に軽減してくれる。長時間歩くほどに、この恩恵は感じられるはずだ。

タングを安定させるLOWA(ローバー)のXレーシングシステム

再び小雨の降り出す中、傾斜の強い箇所もある唐松尾根を、濡れた木の根で滑らぬよう注意深く降りていくと、ほどなく今夜の宿である福ちゃん荘に到着。薪で沸かしてくれた岩風呂で汗を流したら、くつろぎながら夕飯を待つことにする。以前経験したようなつま先の痛みが全くなかったことに菜津子さんも満足そうだ。

「今までは靴紐とタングのことを大して意識しないで、なんとなく登山靴を履いていたのかもしれません。きちんと履くと全然違うものですね」

今夜の宿である福ちゃん荘
今夜の宿である福ちゃん荘

たくさんの思い出をBALDOバルド & BADIAバディアとともに

福ちゃん荘でぐっすり眠った翌朝、空の様子は相変わらずどんより。とはいえ大きく荒れる予想もなく、お二人も少々歩き足りなそうな印象もあったので、小菅村方面へ6時間ほどかけて下山することにした。わずかでも晴れ間を、と期待しながら、いざ出発だ。

たくさんの思い出をBALDO & BADIA(バルド&バディア)とともに

昨日も登った大菩薩峠から、今日は稜線への道と反対の熊沢山方向へ。倒木や木の根が張り出して少々歩きにくい道が続くが、霧に包まれた自然林が美しい。

倒木や木の根が張り出して少々歩きにくい道が続く
霧に包まれた自然林

見晴らしの良い(はずの)石丸峠を下り、牛の寝通りのだだっ広い尾根道の巨木に隠れて休憩をとりながら、長い長い下りが続く。

石丸峠
牛の寝通りのだだっ広い尾根道の巨木に隠れて休憩

緩やかな道すがら、根掘り葉掘りあれこれとお話をうかがったところ、去年の暮れに結婚したばかりのお二人はなんと、幼稚園からのお友達ということだった。幼い頃のお二人を想像すると、今この山に一緒に居られる姿が、勝手ながらとても感慨深かった。

沢の音が聞こえて来たら目的地の小菅の湯はもう目前

高度を下げていくとともに風は止み、やがて額に汗が戻ってくる。沢の音が聞こえて来たら目的地の小菅の湯はもう目前だ。こんなに歩いたのは久しぶりと亮平さん。なんだか清々しそうだ。

「やっぱり山はいいですね。歩くことが楽しいです。正直登山靴にはあまり頓着がなかった方ですが、今までの登山を思い返すと、今回はこのBALDO(バルド)のおかげでずいぶんと疲れも軽減されているように思います」

山と自分の接点となる登山靴。それぞれの山行に適したものを選ぶことが何よりも大切だ。その点、LOWA(ローバー)のBALDO & BADIA(バルド&バディア)は無雪期の登山を幅広く、そして快適にサポートしてくれる靴だと言えるだろう。

バリエーション豊かに楽しめる登山道と、山の短い夏から秋へと人知れず準備する美しい木々。久しぶりの爽快感。楽しかった二日間に唯一、文句があるとすれば生憎の空模様がね…と小さな恨み言をついつい口にしてしまった時、菜津子さんが再び素敵な言葉をくれた。

「必ずまた来ます!」

「必ずまた来ます!」

芳しくない天気予報の中、快くお付き合いくださった島村さんご夫婦。これからもLOWA(ローバー)のBALDO & BADIA(バルド&バディア)とともに、幼い頃の思い出話などにも花を咲かせながら、山の楽しい思い出を積み重ねて行って欲しい。

フィールドルポで使用したアイテム

ローバー バルドGT

ローバー バルドGT

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ローバー バディアGT

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新井 知哉

新井 知哉

もと色校職人というちょっと変わった経歴のグラフィックデザイナー。アウトドアメーカーにてPRを担当した経験を生かし、2018年からフリーランスとしてライター、カメラマンとしても奮闘している。

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