文:髙木律子(登山ガイド)
本ページの内容は商品インプレッション記事のため、使用者個人の感想を含んでおります。
私は普段から登山に関わる仕事をしているのですが、バックパックは用途や行先に合わせて何種類かを使い分けています。
ドイターのエアコンタクトライト45+10SLは、山小屋を使った2~3泊の山行や、夏場のテントでの1~2泊の山行にちょうどよいサイズ。私がここ数年のうちでいちばんよく使っているモデルです。
ベルクロストラップを調整するだけで背面の長さが簡単に調節できるので、自分の体格に合わせられることと、全体的に軽量化されていることで、使い勝手の良さを感じています。
このバックパックを使って登った唐松岳は、北アルプスの北部に位置する山で、標高は2,696mです。いちばんポピュラーな八方尾根からのルートは、ゴンドラとリフトを乗り継いだ標高1,850mからスタートできるので、最初から見晴らしがとても良いです。
途中、狭いトラバースや左右が切れ落ちた岩稜帯もありますが、全体的には整備されていて、チャレンジのしがいがある初中級者向けルートです。稜線に到着すると、すぐ目の前に剱岳をはじめとする立山連峰が一望でき、達成感を得られることもあり、北アルプスの醍醐味が凝縮されている山だと思っています。
普段のガイドのときは、ガイド業ならではの安全装備なども含まれるので、荷物の総重量は10~15kg程度になることが多いのですが、今回はプライベートでもあり11kgでした。
エアコンタクトライトは、45+10リットルという容量のわりにはかなりしっかりしたヒップベルトが装備されています。荷物が重いときは腰や肩にかかる負担も大きくなりますが、このモデルは立体的に成形されたヒップベルトが腰回りをピタッとホールドしてくれて、十分な厚さもあって荷物の重みをしっかり受け止めてくれるので、あまりストレスを感じることがなく歩くことができます。
バックパック自体は縦長のシルエット。このため、上体の重心バランスが左右に振られにくく、体幹を良いポジションに保ててスムーズに移動できます。狭い登山道でのすれ違いや岩稜帯での登り降りで、不意にバックパックを引っかけるおそれも少ないです。
背面パッドには適度なクッション性と硬さがあり、背中の空気の流れが確保される仕組みになっていて、体を動かすたびに背中が通気されて蒸れが少なく快適です。
雨蓋の高さが自在に調整でき、プラス10リットル分のスペースを生み出せるのも、私のお気に入りのポイント。テント泊で日数を経るにつれて食材が減っていくときにも便利だし、行き帰りの電車やバスなどに乗るときに登山靴を収納したりすることもできます。雨蓋が簡単に取り外せて、サブバッグとして使うこともできます。
メインの荷室は2気室構造になっているので、テントなどを底のほうに入れたときにも出し入れが簡単で、必要なときにすぐに取り出すことができます。
バックパックは、一緒に山を歩く相棒ともいえます。日数が多い場合やテント泊の場合はエアコンタクトシリーズ、冬場のスキーの場合は、スキーを取りつけられたり滑走中でも一体感を損なわないバックカントリーシリーズなど、季節や山行形態、日数などに応じて、適切なものを選ぶことが、快適な山行に繋がると思います。