文:今雄飛(スポーツライター)
本ページの内容は商品インプレッション記事のため、使用者個人の感想を含んでおります。
自転車用のバックパックに大切なのは、"汗への対処がうまくできているか"という部分。特に背中は重要。ライド中、主に前から風を受けるため、前面は思いのほか身体が冷されるが、背面は風が当たらず熱がこもりやすい。手が凍えるような寒い季節であっても、背中には汗をかくことが多い。さらにバックパックを背負うと、より熱気がこもりやすくなるので、自転車のバックパックには背中への対処が特に求められるのだ。
その点、ロングツーリング用に設計された、ドイターのレースEXPエアは熱への対処が十分になされていると感じた。背面の熱気対策については、ドイターの得意とするところであり、これはかなり涼しい。空気の通り道になるのか、後頭部付近から背面に空気が通っていくような感じがする(設計上はそうなってないと思うが)。
背面の両サイド部分にもスペースがあり、そこからも熱気が排出されるので、夏場でも快適にライドができる。
また背負い心地もかなり良い。自転車の前傾姿勢の状態に対応するようにデザインされているので、背中にしっかり乗ってくれるイメージ。ちょうど肩甲骨のあたりにバックパックが乗るので、あまり重さも感じない。
トレッキング用などに比べると、少し頼りなさげに見える通気性重視のショルダーストラップだが、"背中に乗る設計"のため特に問題がない。「肩にストラップが食い込んでつらい」「背中が暑い」という理由から、自転車ではバックパックを背負わない方が快適、という意見もある。しかしドイターのように背中にのせるタイプのバックパックならあまりその考えは当てはまらない。背中全体で荷物を支えることができるので、肩にストラップが食い込むことはないし、背面の熱気対策はすでに述べた通り。
またこのバックパックには軽量のフレームが搭載されており、型崩れをおこさないので、荷物の量が少ない時にも身体にフィットしてくれる。
このバッグの使い道としては、その容量からロングツーリングや輪行だろう。特に輪行時はバイクシューズ、レインウエア(ウインドブレーカー)、ジャージ、ハーフパンツ、サイクルキャップ、ヘルメットなどをバックパックに入れる必要があるが、これらのものを入れてもまだ十分にスペースがある。1泊くらいの輪行なら問題ないと思うし、もし荷室が足りない場合は側面のジッパーを空けると3リットル容量が増えるのでまったく問題なく収納できる。
またバッグ底部には付属のヘルメットホルダーを装備。ヘルメットはバックパック内に入れるとかさばるものだが、外付けできるのでバックパック内のスペースを使ってしまうこともない。14ℓという容量以上に収納力があると考えていい。
またコロナ禍によって、増えている自転車通勤にも対応できる。ジャケット、パンツ、シューズは問題なく収納できる。背面が涼しいのであまり汗をかきたくないスーツスタイルでも問題なし。
本来はハイドレーションバッグが入るスリーブなのだが、PCスリーブとしても使用できる。ここに普段モバイル用として使っているサーフェスPROならラクに収納可能。
天気に対しての対応も問題ない。レインカバーがあらかじめ搭載されているので、突然天候が変化してもバックパック内の荷物を濡らすことを防げる。
背面の熱気対策、"背中に乗る設計"など、自転車に使いやすいような仕様にはなっているが、細部も自転車用としての機能にあふれている。
エアポンプなどがズレないスリーブ付き。バックパック内で荷物が整とんされているので、いざという時に取り出しやすい。
アイウェア用のホルダーがついているところもうれしい。電車に乗車するなど、ホルダーに取り付けておけば置き忘れる心配も少なくなる。
メイン荷室のジッパーストラップにはスナップ付き。ライド中の振動でジッパーが開かないよう、ニクいこころづかいがうれしい。
以前に自転車用ではないバックパックでツーリングをしたことがあるが、肩が痛い、ペダリングで荷物が揺れるなど、あまり自転車に集中できなかった。このドイター・レースEXPエアは、自転車専用設計のため、荷物のことを忘れさせてくれるので自転車の旅に集中できる。余計なことを考えずに旅を存分に楽しむことができるバックバックだろう。