文:ツヴェート・ポドロガル(国際山岳ガイド)
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私はスロベニア出身で、母国でスキーの選手としての生活を送ったあと、登山のガイドの資格を取得した。日本で山のプロガイドとして働いて、すでに20年以上が経つ。私の育った国、スロベニアは、オーストリアの南、イタリアの東に位置し、美しい自然が残されており、国土は小さいながら世界有数のスキーリゾートを持つ中央ヨーロッパのスポーツ大国として知られている。
私は普段、日本とスロベニアをはじめとするヨーロッパ諸国で幅広い登山のガイドを行っている。日本では主に春~秋はクライミング、冬はバックカントリースキーのガイドとして活動している。このガイド活動、またプライベートのアクティビティにおいて、私はドイターを選択している。しっかりした荷重バランスを保つ構造、丈夫な素材をつかっているドイターのバックパックは、年間100日以上も山に入る私にとって、かけがえのない相棒となっている。信頼できる道具を実際に試して使い続ける。これはプロガイドとしての選択だと思っている。
バックカントリースキーを行う上でバックパックは一番重要なギアの一つだと感じている。私にとって常に完璧な機能を提供してくれるのがフリーライダープロ。
プロガイドとして必要な、アバランチギア、ロープ、ファーストエイドキットの他、同行者のためのグローブ、ゴーグル、登行用のシールなどのバックアップ装備も30リットルの容量にストレスなく収納できる。ギアの選択や収納を工夫すればマルチデイにも対応できる容量だ。
このフリーライダープロ、愛用者として誇りたいのは何といっても「荷物を詰めて背負った時のバランスの良さ」だ。パックに詰めた荷物の重さを感じにくく、なにより後ろに引っ張られる感覚がいままで使った他のメーカーのバックパックと比べ非常に少ないのが特長だ。これはヒップフィンがしっかりしていること、そしてパックそのものの剛性があるからだと理解している。このため、バックカントリースキーのような予想がつかない地形や難易度の高い斜面を滑り降りる際にも背中の荷物を気にすることなく、また、体の自由な動きが妨げられることなくスキーに集中することができる。
バックカントリースキーではゲレンデのスキーと比べ、持ち運ぶギアも多くなるが、これも大変スマートに運ぶことができる。例えばヘルメットの装着。それから日焼け止めクリームやパワーバーなどの行動食を収納できるヒップフィンポケット。ハイクアップなどの際にパックの前面にギアを装着していてもメインの荷室のギアを取り出せるバックアクセス機能などが装備されている。
また、ハイクアップの際、急峻な登りに差し掛かった際、スキー板を外してバックパックに装着しなければならない時も、サイド部分にスキー板を装着することができる。もちろんスノーボーダーにも便利なバックパックだ。登りはスノーシューを使うのでスノーボードをパックに装着、下りはスノーボードで滑るから、スノーシューはフロント部に固定。スノーボードの時は、登りも下りもパック前面はギアで塞がっているからバックアクセスは大変便利だ。
ドイターの製品というものは、実際のフィールドで使った時にその価値が分かるものだと思う。例えばバックアクセスのジッパー。しっかりとしてスムーズなこのジッパーは氷点下20℃くらいでもそのスムーズさは失われることがなく、また、厳冬期用のグローブをしていても開閉がしやすい。また、使っている生地も春のスキーでも撥水性が高く、安心だ。そして忘れてはいけないのが背面の通気性だ。バックカントリーでのハイクアップで少しペースを上げた時も、背面の通気性があり、汗をかくことを極力減らすことができる。この背面の通気性はユーザーの負担を減らすことが期待できる。ユーザー本位のモノづくりをするドイターならではのポリシーだと思う。
私のスキーアクティビティに対応するための全てが整っていると言えるこのドイターのバックパック。これからもフリーライダープロの出番は減ることはないと思う。
この記事は2020年1月現在の情報をもとに掲載しています。